win-winではなく、第三の解を導くハーバード流交渉術
ハーバード流交渉術という本があります。2冊あって、1980年代に出版された本の中にイスラエルとアラブの交渉で成功した事例が載っていました。
これは、まともに交渉したら平行線になっていつまでも合意できないものを、お互いの本当に欲しいものを理解することで、第三の解を導きお互い合意に達した、ということです。
イスラエルもアラブもお互い自国の安全のために交渉しているのですが、絶対に譲れない線は微妙に違っていました。
そこで、お互いの絶対に譲れないこと同士を満たす条件を見出し、それにより、難しい交渉を合意に導きました。
つまり、まともにぶつかると正面衝突しますが、その本当の意図を探ると、第三の解が出せることがあります。
例えば、お酒屋さんで、客がまけろ、といい、店が定価でしか売らない、と言い張っていたら、いつまでも続くか、決裂することになります。
しかし、例えば、店がまけることはできないけど、このおつまみをおまけで付けることはできますよ、と言えば、客にとっては実質まけてもらったのと同じことですから満足してその案に乗ることもあり得るでしょう。
あるいは、店が次回の割引券を渡す、というのもあるかも知れません。
客側としては、じゃあ、2本買うからあれをおまけで付けてくれ、とか、交渉することもできるかも知れません。
もっと深いレベルでは、なぜ店は定価でしか売らないか、なぜ客がまけて欲しいのか?を探るのも手です。
店が定価でしか売らないのは、一度下げたら、値下げ競争になってじり貧になることが明らかだから、というケースはあり得ます。それはポリシーなのでちょっと変えるのは難しいと思います。その代わりに売れ残り品で賞味期限切れが近いものは無料でおまけの付けることは抵抗がないかも知れません。
客は、たまたまその日だけお金がなくて、次回は定価で買ってもいい、と思っているかも知れません。だとすれば、その日だけ何等かの理由をつけてまけてあげて、次回は定価で買ってもらうよう約束する、という手もあるかも知れません。
あるいは、その製品と同等の品質でより安い製品を紹介するのもよいかも知れません。他所のメーカーでたまたま特価販売中のものがあれば好都合でしょう。
つまり、交渉をする場合には、直接ぶつかるのではなく、なぜ、相手がそう言っているかの理由を探り、その本当の意図がわかれば、お互いが満足できる解が作れる、ということです。
それが、ハーバード流交渉術の基本の1つです。