戦略ブログ sandhills’s blog

戦略論、経営戦略、戦略マーケティングなどについて書いていきます

戦略と戦術との関係は相対的

戦略の定義は、本の数だけある、といわれるように、人によって定義は様々です。私も士業(弁護士、公認会計士等)に対して知財戦略を講義したりしたこともありますから、専門家です。

戦略の本を読んでも明確な定義をしているものは、本当に理解していなかったりしました。むしろ、戦略の定義はいろいろある、と正直に書いてある本の方が、戦略の本質を理解しているように感じました。

比較的一般的な定義としては、競争優位を獲得する理論、というのがあり、私はそれを教えていました。

最近では、マーケティング戦略とは、価値を生み出し続ける仕組み、という定義もあるようで、戦う策略という視点とは異なる視点で戦略を定義する教授も出てきています。

どんな定義をするにせよ、その定義で理論体系がきちんとまとまり、説明に矛盾が無ければ問題ないでしょう。

逆に、おかしな定義をすると、体系全体が崩れてしまい、各部分に矛盾が出て、使えない戦略論になる可能性もあるので、定義とその理論の整合性は重要と思います。

戦略の定義がいろいろあるように、戦術の定義もそれに応じて変わってきます。

一説には目に見えないものが戦略、目に見えるものが戦術などという人もいます。

また、戦略と戦術は相対的なもので、事業部戦略は、全社戦略から見れば戦術だが、事業部から見れば、戦略、各部門も戦略は事業部から見れば戦術、というように、より大きな部門からみれば、戦略が戦術として捉えられる場合もあります。

そういう意味では、戦略と戦術を厳密に分けて考える必要はなく、より上位概念が戦略、というように考えてもよいのかも知れません。

それから、戦略にはオプションを用意する必要があります。

例えば、戦略Aで相手に勝てると思っていたら、相手が別の経路から攻めてきた、というような場合は、それに対抗できる戦略Bを準備しておかなければなりません。つまり、戦争は常に局面が変化するので、戦略も状況に応じて変化させなければ戦いに負けてしまいます。

ですから、戦略家は、相手の出方を予想して、いくつかの戦略パターンを準備しておき、その時々で最善の戦略を採用します。

そういう意味では、戦争における戦略は常に変化すると考えるべきでしょう。

企業のビジネスにおいても、例えば、低アルコールビールを開発して発表したら、ライバル会社はアルコールゼロの新製品を出してきた、というような場合は、低アルコールビールの発売を中止して、アルコールゼロの新製品開発を優先させるのも戦略変更の例です。

ライバル企業もどんどん新製品を開発していますから、業界の流れがどう変わるかは予想できません。そのために、企業でも製品戦略をいくつも準備しておいて、状況に応じて発売する製品を変更したりもしています。

どの製品をどのタイミングで発売するか?というのも戦略といえるでしょう。